本章(第7章)のまとめとキーポイント

近年の研究によって、統合失調症の患者の脳には“ドーパミン”が過剰であることが明らかになりました。そのため現代医学では、統合失調症を脳内物質の異常による病気、脳の異常による病気と考えるようになっています。最近の治療薬の開発により、統合失調症の“薬物療法”は大きく前進することになりました。

治療法の進歩は、患者やその家族にとっては朗報ですが、それですべての問題が解決したわけではありません。薬物療法によって幻覚や妄想がなくなったとしても、別の問題(無気力症状・不適応症状など)は依然、残されたままになっています。また統合失調症の原因については、現代医学ではいまだに解明されていません。

シャーマニズムは、古代から現代に至るまで世界の各地に存在します。そこではシャーマンによる除霊治療が行われてきました。シャーマンは、地上人に憑依した邪霊を取り除くことで病気を癒します。こうした除霊治療の代表者がイエスでした。21世紀の現代でも除霊治療は行われていますが、そこでは目を覆いたくなるほどの無知がはびこり、不正が横行しています。

地球上の数ある医学・医療の中で「スピリット・ヒーリング」と「除霊治療」は、最も特殊な立場に立っています。それは両者が“霊魂説”を前提とした医療であるということです。霊魂の存在を否定する傾向の強い現代社会では、唯物医学ばかりでなく、ホリスティック医学も除霊治療を認めようとしません。

憑依は、霊と地上人のオーラが同調し、霊が地上人の意識を支配することで発生します。本書でこれまで取り上げてきた大部分の病気は、「霊的エネルギー循環システム」の異常が原因となって全身の機能低下を引き起こし発生するものです。

憑依による精神病は、病気の発生メカニズムがこれとは全く異なっています。「霊が地上人に取り憑く」ことが、病気の根本的な原因です。その意味で「憑依」による精神病は、本書の中でも特殊なケースと言えます。

霊の憑依は、時間とともに進行していくのが普通です。霊との接触が始まる段階から徐々に憑依が進行して、やがて心身そのものが完全に支配されるようになります。そして最終的に、統合失調症や二重人格といった精神病を発症させることになります。

憑依は、すべての人間に起こるのではなく「霊媒体質者」といわれるオーラを多く放射する特殊な体質を持った者に生じます。しかし霊媒体質者のすべてが憑依されるわけではありません。霊性が未熟で内面的な問題を抱えている人間、性格的な問題を持っている人間が憑依の犠牲者になります。

霊媒体質者は、憑依から身を守るための自己努力が必要です。それによって憑依を未然に防ぐことができるようになります。「邪悪霊・低級霊のささやきを無視する」「恐怖心を取り除く」「高い心境を保つ」「利他的行為の実践に励む」「体調コントロール・心身コントロールの努力をする」――これが憑依を防ぐための自己努力です。

憑依による精神病は、前世でつくった「カルマ(悪因縁)」が大きく関係します。憑依による苦しみは、前世の罪に対する罰であり償いです。しかしそれは同時に、新たな霊的進化の道をリセットするための準備と言えます。

世間一般に行われている除霊では、憑依の問題を根本的に解決することはできません。一時的に憑依霊を取り除いても、再び取り憑くことになるからです。何よりも本人が内面を変化させて霊性を高め、憑依霊を引き寄せないようにすることが重要です。

自己努力のできない患者の場合には、できるだけ早く薬物療法に取りかかる必要があります。また憑依状態がひどく、周りの人々の手に負えないときには、病院に入院させるなどの現実的な対処が必要となります。

病気の苦しみを通じてカルマが切れ一定の霊性レベルに至ると、背後の霊によってスピリチュアル・ヒーリングに導かれることもあります。「スピリット・ヒーリング」は、最高次元の除霊治療を可能にします。その良い見本を、ウィックランドの除霊治療に見ることができます。彼の治療は、多くの霊の協力のもとで進められました。

しかしその「スピリット・ヒーリング」も、カルマが切れ憑依の苦しみが不必要になった人でないかぎり、治療効果を発揮することはできません。病気になるのも、またその病気が治るのも、すべて「カルマの法則」の中で生じることなのです。

スピリット・ヒーリングは、患者の「霊の心」に霊的エネルギーを補給し、心の自然治癒力の働きを高めます。これによってオーラの中に閉じ込められていた憑依霊を自然排除し、潜在意識の働きを正常化することができるようになることがあります。その場合は、統合失調症は癒され元通りになります。この意味でスピリット・ヒーリングは、統合失調症の有効な治療法の1つと言えます。