7.憑依への自己防衛努力
最も理想的な解決法・治療法
霊媒体質者のオーラは、磁石のように強力に低級霊を引き寄せる力を持っています。したがって普通の人以上に、「自己コントロールの力」が要求されるようになります。しかし現実には大半の霊媒体質者は、物欲や本能に対する自己コントールの重要性を自覚していません。それどころか世間一般の人々と同じように、本能に流されたままの生活を送っています。そのため霊媒体質者の多くが低級霊に憑依され、“低級霊の餌食”となっています。
ここでは憑依に対する「自己防衛努力」について見ていきます。自己防衛努力とは、一言で言えば「霊的自己コントロール」のことですが、それこそが憑依に対する最も賢明で根本的な対処法・治療法なのです。自らの努力で自分自身を守る最善の方法なのです。その自己努力の具体的な内容について学ぶことにします。
自己努力①
低級霊のささやき・ちょっかいを無視する
先に述べましたが、憑依は低級霊による接触から始まります。ささやき(幻聴)などの幻覚がその兆候です。このとき地上人が一切相手にしないならば、低級霊との接触はそれ以上進展しません。意図的に働きかけている霊も諦めて立ち去ります。
「霊のささやき・ちょっかいを無視する」ということは、大切な自己防衛努力です。これは言葉で言うのは簡単ですが、実際に霊の声が聞こえ、霊的映像が見える当事者になると、さまざまな
声が聞こえても、霊的ビジョンが見えても、頭から無視して相手にしないという毅然とした心の姿勢をとることが自己防衛努力の第一歩ですが、自分の利己的思い(煩悩)によって、それがなかなかできなくなるのです。その結果、憑依の深みにはまっていくことになります。こうした「霊性の未熟さ」が憑依を進行させ、自らの首を絞めることになるのです。
自己努力②
すべての恐怖心を振り払う
恐怖心は、憑依を進展させるきっかけになります。その意味で恐怖心は、霊媒体質者にとって大敵なのです。地上人が恐怖心を抱くと、そこから発せられるマイナスの念が霊的エネルギーの流入経路を遮断し、守護霊たちの援助や導き・守護の道を閉ざしてしまうことになります。その結果、最強の霊的防御壁を自ら崩すことになってしまいます。私たちが忘れてはならないことは、「一瞬の恐れも心に宿してはいけない」ということです。もし恐怖心が湧いてくるようなことがあるならば、視野を広げ、一刻も早くそれを振り払わなければなりません。
霊媒体質者は普通の人以上に霊的影響を受けやすいため、多くの恐怖心が湧くようになります。それゆえいっそう強い心と広い視野、そして霊の守護に対する信頼心が必要とされます。憑依される人間には、かつて何らかの恐怖体験があって、それがトラウマになっているケースが多く見られます。そしてその記憶を忘れたいという心理が無意識のうちに働き、その部分が空白になって低級霊の侵入を許すことになります。
そうした人間は、これまでの嫌な体験を自己の霊的成長にとってのありがたいものと考えたり、あるいは小さな取るに足らない出来事と位置づけするように努力しなければなりません。
自己努力③
高い心境を保つようにする
すでに述べましたが、霊媒体質者であれば必ず憑依されるというわけではありません。一番の問題は、霊媒体質者自身の心の持ち方なのです。霊的に敏感な体質であっても、高い心境を維持することができる人には、低級霊は近づくことができません。低級霊は、地上人の低俗な感情や肉体的欲望に感応して引き寄せられるのです。物欲やエゴの感情が強く渦巻くところに引き付けられるのです。低級霊の憑依を受けるのは、その人間の思いや欲望が
善なる人には、善なる霊しか近づきません。地上人の霊的心境が高いときには、身体から発せられるオーラは澄み渡り、低級霊は近寄れません。霊性の高い地上人は多くの善なる霊たちを引き寄せ、これらの霊たちによって守護されることになります。したがって低級霊を寄せ付けないような高い霊的心境を保つことこそが、憑依に対する強力な自己防御手段となります。
自己努力④
利他愛の実践に意識を向ける
低級霊を引き寄せたままでいるということは、その人の心が物質的・本能的であることを示しています。地上人の低俗な思いは、低級霊にとって非常に魅力的です。地上人の思念や欲望が
霊的な現象に関心を持つより「利他愛の実践」に意識を向けることによって、恐怖心は消滅し、多くの霊的エネルギーがもたらされるようになります。また霊界の援助と守りを受けられるようになります。自分のことを忘れるほど利他愛に専念する人には、低級霊は近づくことができません。利他愛の実践・純粋な無私の奉仕は、憑依から身を守る賢明な方法なのです。
憑依が引き起こされるのは、地上人が「霊媒体質」であるということと、その地上人の心が「物質的・利己的」であるという条件が重なったときです。低級霊の誘いかけに乗らず、高い心境を保とうと努力をする人には、悲惨な憑依現象が引き起こされるようなことはありません。憑依が起こっても、早いうちに芽を摘み取ることができるため、大事に至ることはありません。
以上が、憑依に対する自己防衛の鉄則です。
自己努力⑤
体調コントロールと心身コントロールを心がける
もう1つの大切な自己防衛努力が、「精神と肉体の健全性を保つ」ということです。「体調コントロール」と「心身コントロール(霊肉のバランスをとること)」を心がけるということです。
極度の精神的・神経的疲れ、あるいは大きなショックは、霊肉のバランスを崩し、憑依を引き起こしやすくします。自己コントロールの力が失われた隙間を狙って、低級霊が介入してくるのです。愛する人との死別や人間関係のトラブル・お産などのショックによって憑依状態が引き起こされ、突然精神病になる人がいるのはそのためです。
また激しい過労や睡眠不足によって肉体が極端な不調に陥ったときも、憑依が起こりやすくなります。生命エネルギーが低下し、精神的抵抗力が弱まるため、低級霊の侵入が容易になるからです。長期の断食や不眠不休の肉体行によって無理やり霊媒体質をつくり上げると霊通するようになりますが、肉体の異常な酷使は、これと同じような状況を引き起こすのです。
肉体と精神の健全さを保つには、スポーツ(運動)はとても有効です。軽く汗を流す程度の適度な運動によって、まず肉体レベルの不調和が解消され、さらに霊肉間のアンバランスが整えられます。適度の運動は食欲を増進させ、熟睡を促し、神経の疲れを癒します。よく運動し、よく食べ、よく寝る人には憑依の被害者はいません。先に述べましたが、スポーツマンや肉体労働者は、たとえ生まれつきの霊媒体質者であっても憑依現象はあまり生じません。生活を規則正しく律し、運動・食事・睡眠に気をつけることによって、軽い憑依状態は簡単に治ってしまいます。
憑依を防ぐにはこのように、まず「肉体レベル」そして「精神レベルと肉体レベル」のアンバランスを修正するように心がけることです。瞑想や祈りなどを憑依の治療として勧めるところがありますが、それは逆効果です。異常な霊的通路をさらに広げ、低級霊を誘い込みやすくすることになり、憑依状態を進行させてしまいます。