4.憑依現象のメカニズムと、憑依のバリエーション

特殊な病気発生のメカニズム

本書でこれまで対象としてきた病気は、肉体的なものであれ、心的なものであれ、「霊的エネルギー循環システム」の異常によって生じるものでした。霊的エネルギーの摂取不足と霊的エネルギーの循環不全が、最終的に肉体や心の病気を発生させることになります。この意味で、病気の根本原因と病気発生のメカニズムは「霊的エネルギー循環システム」の異常として一括ひとくくりにして論じることができました。

それに対し、本章で扱う「憑依による精神病」は、病気発生のメカニズムが本質的に異なっています。憑依による精神病(統合失調症)は、病気のメカニズムとして見たとき、きわめて特殊な病気と言えます。

憑依現象の基本的メカニズム

憑依現象は、どのようなメカニズムで発生するのでしょうか。憑依現象は、霊のオーラと地上人のオーラが同調することで、地上人の潜在意識が支配されて引き起こされます。そのプロセスを少し詳しく述べると、次のようになります。

  • 「霊のオーラと霊媒体質者のオーラの融合」 → 「霊媒体質者の潜在意識の支配」 → 「霊媒体質者の思考や身体機能のコントロール」

霊は、地上の霊媒体質者の潜在意識を支配するプロセスを通じて、その心身機能をコントロールするようになります。これが「憑依現象」の基本的なメカニズムです。大抵の人は、憑依現象とは、霊が部屋の中に入るように霊媒体質者の身体に入り込むものと思いがちです。霊媒体質者の霊体を押しのけ、そこに霊が割り込むようなイメージを抱いていますが、実際はそうではありません。

霊媒現象と憑依現象

憑依とは、邪霊・低級霊が地上人に取り憑き、地上人の意識を部分的に、時には全面的に支配して異常な言動や病気を引き起こす現象です。別の人格像が現れる現象です。「憑依」は、世間一般に言われる「霊媒現象」と同じ形態の心霊現象なのです。

ただし霊媒現象が、霊と霊媒の協調関係のもとで現出されるものであるのに対し、憑依は低級霊によって一方的に、かつ強引に引き起こされる異常な心霊現象であるという点で違っています。

<通常人>

「通常人」の意識状態

<正常な霊媒現象>

「正常な霊媒現象」の意識状態

※霊媒自らが、自分の潜在意識を通信霊に明け渡し、霊的顕在意識を引っ込めて、一時的に通信霊の意識だけを出す。

<憑依>

「憑依」の意識状態

※強引に潜在意識に侵入し、これを勝手に使用する。患者の潜在意識は、防御本能が働くために、外部からの侵入霊と葛藤状態になる。これが顕在意識を通じて、幻覚・妄想となって現れる。本人の意識と侵入霊の意識が、ばらばらに出るため、外部からは分裂状態に映る。

憑依のバリエーション

憑依による支配は、憑依霊サイドと地上人サイドの諸条件によって、さまざまな状態を引き起こすことになります。低級霊が霊媒体質者の身体の一部分のみを支配する場合もあれば、支配が身体のすべての機能にまで及ぶケースもあります。憑依霊の支配力やコントロールの強さもいろいろです。さらに霊媒体質者の潜在意識の状態、霊体や肉体の性質、体調によっても憑依現象の状況は変わってきます。こうしたいくつもの要因によって、憑依には多様なバリエーションが成立します。また憑依は時間とともに徐々に進行し、症状が悪化していくのが普通です。

次に、そうした憑依の進行プロセスについて見ることにします。