2.除霊治療の歴史と、現代の除霊治療の問題点
シャーマニズムと除霊治療
地上に人類が誕生して以来、医学と宗教が最も密接な関係を持ってきたのが「シャーマニズム医術」です。そこでは宗教と医学が分化されず、医学は常に宗教の一部に組み込まれていました。“シャーマニズム”は、宗教学的には原始的なレベルの宗教と見なされますが、科学時代の現在21世紀の先進諸国の中でも“裏の宗教”として根強く存在し、多くの人々の信仰を集めています。(*表の宗教とは、キリスト教・仏教・イスラム教などの教理宗教を指し、宗教組織が権限を持っています。)
シャーマニズムは“シャーマン”という霊媒を中心とする宗教です。シャーマンはトランス状態下で肉体を抜け出し、あの世の霊とコンタクトしたり、地上人に取り憑いた邪霊を取り除くために呪術を行います。太古の昔より人々は、さまざまな不幸や事故は、邪霊・低級霊の仕業によって引き起こされると信じてきました。また霊が人間に取り憑いて、いろいろな病気を発生させると考えてきました。人々は邪悪霊を取り除いたり、これを静めることによって不幸や病気を回避しようと願ってきました。そしてその役割をシャーマンに期待してきたのです。
イエスは歴史上最高のシャーマンであり除霊師
シャーマニズム医術や除霊治療などと言えば、多くの現代人は頭からインチキと決めつけます。またクリスチャンは、キリスト教の創始者イエスが除霊によって奇跡的治療を行ってきたことを知っているにもかかわらず、シャーマンがイエスと同じように病気を治す事実を認めようとしません。奇跡的治療は、唯一の神の子であるイエスだけができる特別な業と考え、シャーマニズムの除霊治療とイエスの癒しの奇跡が同じものであることを決して受け入れようとしないのです。イエスが行ったような奇跡は、現在の多くのシャーマンによってもたびたび現出されます。熱心なクリスチャンはイエスを心霊治療師として見なそうとはしませんが、紛れもなくイエスは心霊治療師だったのです。
聖書の中には、イエスの除霊治療に関する多くの記述が見られます――「人々は悪霊につかれた者を大勢、みもとに連れてきたので、イエスはみ言葉をもって霊どもを追い出し、病人をことごとくお癒しになった。」(マタイ8・16)「そのとき、人々が悪霊につかれた盲人で口のきけない人を連れてきたので、イエスは彼を癒して、物を言い、また目が見えるようにされた。」(マタイ12・22)「イエスがお叱りになると、悪霊はその子から出て行った。そして子はその時、癒された。」(マタイ17・18)
このように聖書の中には、イエスの行った除霊治療の記述が数多く残されています。イエスは、まさに人類史上最高の除霊師と言うことができます。
除霊治療に絡む不正の横行と、憑依に対する無知
現代の日本では、霊能者や宗教が除霊治療を行っています。しかしその多くが、インチキ除霊であったり
ニセ霊能者は決まって、肩に霊が憑くと肩凝りや肩痛が生じ、腹部に憑くと子宮ガンや内臓疾患が生じると言います。神経痛やリウマチも霊の憑依によって引き起こされると言います。そして自分たちの特殊な除霊によって病気の原因となっている霊を取り除けば、病気はたちどころに治ると断言します。こうして除霊は、ニセ霊能者の都合のいい儲け口として悪用されています。
また、ある新興宗教では「病気の70~80%が霊の憑依によるものである」と言い、除霊が教義と宗教活動の中心となっています。しかし病気の原因を、何もかも憑依に結びつけることは間違っています。憑依を大袈裟に強調し、肉体の病気の大半が憑依によって引き起こされると考えることは、無知以外の何物でもありません。
憑依によって肉体の異常が生じることはありますが、そうしたケースは、実際にはそれほど多くはないのです。「肉体の異常によって、結果的に霊が憑依する」というのが実情です。ノイローゼといった精神的な異常を抱えた人の頭には、霊が憑依していることがよくありますが、それも本人の精神的不調和という原因が先にあって、霊が憑依するようになるのです。
また霊能者の中には、「1人の人間に何百体もの霊が憑いて病気を引き起こしている」などと言う者もいますが、そうした事実もありません。