5.憑依現象の進行プロセス

幽界の下層には、自分の死を自覚していない“地縛霊”が無数に存在していますが、こうした地縛霊が、何かの拍子に地上の霊媒体質者のオーラに引っ掛かってしまうことがあります。また悪意を持った低級霊が、意図的に地上人を支配しようとして接触を図ってくることもあります。こうして憑依が始まりますが、その憑依状態は時間の経過とともに徐々に深まっていき、最後には深刻な事態を迎えることになります。

ここでは、そうした憑依の進行プロセスを見ていくことにします。一般的に憑依は3段階のステップをへて進行していきます。「軽い状態(第1ステップ)」から「深刻化する状態(第2ステップ)」、そして「最悪の状態(第3ステップ)」へと進んでいきます。

①憑依の第1ステップ(霊との接触が始まる段階)

地縛霊・低級霊との接触が始まったこの段階では、まだ本当の憑依とは言えません。仮に地縛霊と霊媒体質者のオーラの波動が同調することがあっても、それは一時的であって、すぐに縁は切れます。

憑依が始まる段階でよく生じる霊的現象は、幻聴などの「幻覚」です。また思い出したくない過去の記憶が次々と蘇ってきて頭から離れなくなり、過去に対する強い後悔の念が心を占めるようになります。それがあまりにもひどいと、自虐的になって「うつ病」の状態を引き起こすようになります。突然しくしく泣いたり、「パニック状態」になって何も手につかなくなるようなこともあります。

とは言っても、こうした憑依の初期段階では、憑依霊の影響力はまだ小さく、危険性もそれほど大きくはありません。地上人が「これではいけない!」と気がつき、気持ちをしっかり保つようにすれば、低級霊とのつながりは切れます。低級霊が接触を図ってきても無視して全く相手にしなければ、侵入霊との関係は進展しません。

思い切ってスポーツをして汗を流したり、自分が好きな趣味に打ち込んで意識を別の方向に集中させるのもよい方法です。スポーツで肉体を鍛えると、霊媒体質が自動的に引っ込むようになります。現役のスポーツマンに憑依の被害者が少ないのはこのためです。ある意味で霊的に鈍感になるからです。霊に関心を向けないようにして、自分の仕事や趣味に意識を集中すれば、侵入霊との接触は解消します。

②憑依の第2ステップ(オーラの融合が進み、思念が支配される段階)

憑依の初期段階では、本人が意識や気持ちを正せば簡単に侵入霊を退けることができるのですが、世の中の大半の霊媒体質者は、無知と虚栄心のために何か特別なことが自分に起こったと思い込むようになります。そして侵入霊からの接触をむしろ快く思って霊の声に耳を傾けて歓迎したり、自分の方から霊との接触を図るようになります。そして徐々にオーラの融合化が進行し、憑依の深みにはまっていくことになります。

こうなると憑依された人間は、突如「妄想的なことを口走る」ようになり、周りの人々を驚かせることになります。しかしその一方で、相手(周りの人)の質問にはまともな返答をするのが普通です。また日常生活も対人関係もそつなくやっていけるなど、人間性が全面的に失われるわけではありません。それが外部の人々には、人格が分裂したように映ることになります。

③憑依の第3ステップ(憑依がさらに進み、心身を乗っ取られ、完全な精神病の状態になる段階)

憑依がさらに進行し霊による支配が進むと、意識や思考ばかりでなく、日常の行動も完全に低級霊に乗っ取られた状態になってしまいます。大半の霊は、初めから地上人の心身を乗っ取ろうというような悪意はないのですが、いったんオーラの中に入り込んでしまうと、そこから抜け出すことができなくなってしまうのです。

そうした状態に至ると、もはや憑依霊は、自分と地上人の区別がつかなくなってしまいます。一方、自他の区別がつかないのは憑依されている地上人にとっても同様で、自分の考えと外部から侵入してきた霊の考えの区別ができなくなります。このような状況下で、霊は地上人の精神・思考の中に存在するようになります。

こうなると外見上の肉体は同じであっても、それを動かすのは全く別の人格になり、気狂きちがいの状態になります。ここまで憑依が進行してしまうと、周りの人々はほとんど手がつけられなくなります。こうした状況では、憑依された本人は自分が何をしているかの自覚をなくし、本来の人格を失って低級霊の操り人形となり、異常で支離滅裂な行為をするようになります。

憑依による完全支配

※患者の潜在意識は、侵入霊に完全に支配され、顕在意識を通じて出てくるのは侵入霊の意識になる。肉体は患者のものだが、意識(心)は侵入霊のものとなっている。完全な人格の分裂状態・狂気の状態になる。

さらに悪いことに、肉体の酷使状態から、変性意識化(潜在意識→顕在意識)の通路が広がり、侵入霊の意識がストレートに反映されるようになる。