6.憑依の被害者

「霊媒体質者」

憑依現象は、すべての地上人に起こるわけではありません。「霊媒体質者」と言われる特殊な体質の持ち主が、憑依の直接的な被害者となります。ここでは霊媒体質者について見ることにします。

霊媒体質者とオーラ

地縛霊たちは、地上近くをうろついたり特定の場所にじっとしていますが、彼らの目には地上の霊媒体質者は小さな灯火ともしびのように見えます。霊媒体質者からは多くのオーラが放射されていて、それが霊には薄暗い光源のように見えるのです。地縛霊は、夏の夜に誘蛾灯ゆうがとうに昆虫たちが引き寄せられるように、霊媒体質者のオーラに引き寄せられます。そして、そのオーラの中に入りたいと思うようになります。また霊媒体質者が地縛霊のいる場所をたまたま通り過ぎた際に、無意識のうちに地縛霊を引き付けてしまうことがあります。そこから「憑依現象」が始まるようになります。

世間一般で言われている“霊能者”とは、オーラを大量に発散させている「霊媒体質者」のことで、霊界からの影響力を敏感にキャッチできる人間のことです。憑依現象は、こうした霊媒体質者がいるときに生じるようになります。邪霊・低級霊にとっては、地上に霊媒体質の人間がいるかどうかが問題です。霊媒体質者は、彼らにとっては地上に働きかける絶好の通路なのです。一般の人間にはいくら働きかけても反応が鈍く、なかなかコンタクトすることができませんが、霊媒体質者の場合は、容易に霊界から影響力を及ぼすことができるのです。

霊媒体質者は霊的に敏感なため、葬式に出たり人混みの中に長時間いると、悪い霊気の影響を受けて体調を崩したりします。吐き気を催したり、頭を締めつけられるような体験をすることもあります。霊媒体質者は、高級霊からのメッセージを受け取ることができるようになれば優れた霊能者になれますが、低級霊にとっては実に都合のいい道具なのです。

すべての霊媒体質者が憑依されるわけではない

同類の霊を呼び寄せる

霊能者・霊媒体質者が、低級霊に憑依されるかどうかは、ひとえに霊媒体質者自身の霊的内容にかかっています。低級霊に取り憑かれる人間は、もともとそういう受け皿ができているのです。自己中心的で意志薄弱、自主性が乏しくて霊的にも精神的にも未熟な人間は、地縛霊にとって格好のターゲットになります。

一方これとは逆に、霊性が優れ、心身のバランスがとれた健全な性格の持ち主に、低級霊が憑依することはありません。現実を見るかぎり、霊媒体質者の多くが、霊的に未熟でモラルの感覚も低く、とても世俗的で享楽的です。依頼心が強く、堕落した好みや願望を快く思うような人間が多いのです。その結果、悲惨な憑依現象を引き起こすようになっています。憑依される人間は、自らの弱み・自由意志によって、そうなることを許しているのです。

霊性の未熟さこそが原因

憑依を進行させて悲惨な事態を引き起こすようになる原因は、一言で言えばその人間の「霊的未熟さ」にあります。霊性の高い人間は、たとえ霊媒体質であっても憑依を早い時期に食い止め、この後で述べるような自己防衛努力を実践するため、深刻な事態にまで至るようなことにはなりません。このことは今憑依で苦しんでいる患者も、根本的な心の改善によって問題を解決できる可能性があるということを意味します。

とは言っても、それは口で言うほど簡単なことではありません。人間はなかなか自分の心の持ち方・考え方を変えることはできません。そのうえ1人1人には「カルマ」という根深い問題が横たわっています。

前世と霊媒体質の関係

一般の人々は、霊能者・霊媒体質者を特別な人間のように思いがちですが、霊能力は、すべての人間が持っている霊体の能力を肉体次元に現したものにすぎません。また誰もがオーラを発散させていますが、霊媒体質者は、そのオーラの分量が一般の人よりも多いという点で違いがあるだけです。人間として一番肝心な「霊格・霊的進化のレベル」と、「霊能力・霊媒能力」は無関係です。先に述べたように現実には、霊能力者や霊媒体質者の人格性・霊性の低さは目に余るものがあります。)

現在、霊能力や霊媒能力を発揮している人の中には、前世において肉体行を通じて霊的能力を身につけた人がいます。前世で身につけた能力を、再生時にも携えて生まれくるのです。霊媒体質という特殊性の大半は生まれつきのもので、前世の内容やカルマが深く関わっています。