2.「霊的エネルギー循環理論」から見た心身関係
いまだに解明されていない心身関係
心身医学の発展によって、ストレスが肉体の病気を引き起こす大きな要因であることが明らかにされました。また肉体次元での、ストレスと病気発生のメカニズムも徐々に明らかにされるようになっています。一方、脳科学の発展は、脳の仕組みや機能について、以前とは比較にならないほど多くの知見をもたらしています。コンピューターを用いた画像解析技術(MRI・MRS・MEGなど)の革新によって、脳科学は目覚ましく進歩しました。最近ではゲノム科学によって、別方向からの精神医学へのアプローチもなされようとしています。
しかし科学技術が発展したと言っても、心のほんの一部分が解明されるようになったにすぎません。また心と肉体の関連性にしても、全貌が明らかにされたわけではありません。人間に「霊・霊の心・霊体」がある以上、こうした存在を前提としないところでの研究には、初めから限界があります。当然、現実の心身問題や精神障害の問題を根本的に解決する方法を提示することはできません。
さて、心身医学が重要視してきたストレスと病気の関係は、「霊的エネルギー循環システム」ではどのように解釈されるのでしょうか。また心身医学で主張されてきた心と肉体の相互関係(心→肉体、肉体→心への影響)は、どのように説明されるでしょうか。スピリチュアル・ヒーリングの理論によって「心身問題」が説明できるとするなら、心身医学とスピリチュアル・ヒーリングを理論的に統合する可能性が出てきます。
「霊的エネルギー循環システム」から見た心身関係
心身医学で言う「心の肉体への影響力(心→肉体)」あるいは「心が肉体を癒す働き」とは、霊的エネルギー循環システムにおける「霊の心→霊体→肉体」というエネルギーの「ステップダウン」のことを意味しています(下図①)。
「霊的エネルギー循環システム」は「ステップダウン」がメインの流れですが、それだけでなく、それぞれのレベルの間で下から上に向けての流れもあります。これは各構成要素の間に相互関係があるということを意味しています。その結果、メインの流れとは逆に「肉体→霊体→霊の心→霊」というエネルギーの流れも成立します。心身医学で言う「肉体の心への影響力(肉体→心)」「肉体が心を癒す働き」は、「肉体→霊体→霊の心」というエネルギーの「ステップアップ」によって引き起こされます(下図②)。