6.スピリチュアル・ヒーリングの発展と、市民権の獲得

多数派による市民権の獲得

スピリチュアル・ヒーリングは、理論闘争を通じて人類に受容されていく性質のものではありません。結論を言えば、スピリチュアル・ヒーリングは、これを偏見なく受け入れられる人々の数が増えることによって、最終的に市民権を得るようになっていきます。霊的なものを受け入れられる人々が多数派となったとき、スピリチュアル・ヒーリングは自動的にホリスティック医学の重要な立場に立つようになります。

本来ならばホリスティック医学が、自らの意志と判断でスピリチュアル・ヒーリングの真価を認め、率先してそれを取り入れるべきなのですが、現実にはその可能性はほとんどありません。今述べたようなプロセスを経ないかぎり、ホリスティック医学がスピリチュアル・ヒーリングを自らの内に取り入れることはできないでしょう。ホリスティック医学とは関係のない人々によってまず受け入れられ、それが多数派となったとき、最終的にホリスティック医学はスピリチュアル・ヒーリングを認めるようになるでしょう。

もし、ホリスティック医学がいつまでもスピリチュアル・ヒーリングを受け入れないならば、ホリスティック医学は人々から置き去りにされることになります。そのときはスピリチュアル・ヒーリングは――「霊医学(スピリチュアル・メディスン)」といった別の医学の一分野を形成し、独自の展開をしていくようになるかもしれません。

多数派になりつつある受容派

スピリチュアル・ヒーリングの今後の発展は、一般の人々の中に霊的存在を認めるような動きが拡大していくかどうかにかかっています。幸いなことにそうした動きが、20世紀後半より地球上に起こりつつあります。現代スピリチュアリズムの広がりや最近のニューエイジ・ムーブメントの勃興は、その1つと見なすことができます。

現在、霊的なものに対する人々の関心は、かつてないほどの大きな高まりを見せるようになっています。先進国においても、死後の世界や霊魂の存在を認める人々の数は急激に増加しています。これは明らかに、スピリチュアル・ヒーリングを受け入れる土壌が熟しつつあることを意味しています。

1980年のギャロップ世論調査では、アメリカ人の71%が来世を信じているということが明らかにされています。最近では世論研究協議会が、アメリカの成人の半数近い42%が、すでに死んだ誰かとの接触を持ったと信じていると発表しています。このうち78%の人が死者の姿を見、50%の人が死者の声を聞き、18%の人が死者と会話したと報告しています。もちろんこのデータがそのまま事実を反映しているとは言えませんが本人の勘違いや思い込みによる錯覚の可能性もあるので)、多くの人々が霊的存在を受け入れ始めていることは明確に見て取れます。そして、そうした人々が多数派になりつつあることも理解されます。

このような傾向は日本でも同じように見られます。東京在住の学生を対象にした調査では、霊的世界に対する関心は急激に高まっていることが明らかにされています。霊の存在を認める若者が多数派になりつつあるのです。

こうした最近の状況を見ると、スピリチュアル・ヒーリングが人々の中に受け入れられ浸透していくのは、それほど遠い将来のことではないと思われます。