(2)ヒーラーの堕落と誘惑的環境

1)ヒーラーの堕落の始まり

ヒーラーの煩悩と堕落

“煩悩”とは、心が本能的欲望に支配され、神の摂理に反する利己的・自己中心的な方向に走ることです。心が本能的欲望に翻弄され、本能的欲望の満足を渇望するようになることです。そうした煩悩に流され、実際に利己的な行為を行うようになることが“堕落”です。

ヒーラーの“堕落”――すなわち利己的な不正行為は「ウソをつく」ということから始まります。ウソをついて人々を騙すところから、物欲・名声欲・権勢欲といった私利私欲の追求が徐々に具体化していきます。こうして堕落人生・煩悩まみれの人生にはまり込んでいくようになります。

世の中にあふれている“ニセヒーラー”

ヒーラーとしての世俗的成功は、ひとえに有名になれるかどうかによって決まります。“卓越したヒーラー”“すごい霊能者”との評判が広まれば、それほど苦労しなくても「金と人気と権力」を手に入れることができるようになります。そして本能的快楽を心ゆくまで味わい、その喜びに酔いしれることができるようになります。まさに夢のような人生が訪れることになるのです。

このためヒーリング能力(霊能力)のない者が本物のヒーラー・霊能者であるかのようにウソのPRをするようになります。また、ほんのわずかな霊能力しかないのに、すごい霊能力の持ち主であるかのように自己宣伝する人間が現れることになります。こうしたニセヒーラー・ニセ霊能者が、現在の世の中にはあふれています。

ウソから始まる堕落の道への転落

“ウソは泥棒の始まり”という諺があります。これはまさにニセヒーラー・ニセ霊能者にそのまま当てはまる言葉です。ヒーラー・霊能者のウソは、堕落(不正行為・罪)の出発点です。多くのヒーラーがウソをついて人々を騙すところから、堕落の道に転落していくようになります。

ヒーリング能力がないにもかかわらず自分はヒーラーだと偽り、人々を騙して私利私欲に走ります。そうした堕落的行為は、時間とともにどんどんエスカレートしていきます。そしていっそう本能的欲望に支配されるようになり、道徳的常識さえもすっかり捨て去って“魂”を悪に売り渡してしまうことになります。

高額の報酬が当たり前に

ヒーラーや霊能者ほど、楽をして金を稼げる仕事はありません。治療費をどれだけ吊り上げてもそれを批判する人間がいないため、ますます増長し、高額報酬が当たり前の感覚になってしまいます。ヒーラーや霊能者の評判・人気が上昇すると、例外なく治療費や相談料が引き上げられるようになります。

ヒーラーや霊能者や占い師が法外な報酬を騙し取ることがしばしば社会問題になりますが、これは程度の差こそあれ、ほとんどすべてのヒーラー・霊能者がしていることなのです。

2)ヒーラーの堕落に拍車をかける誘惑的環境

ヒーラーや霊能者は常に、この世の誘惑にさらされています。不正を誘発し、堕落に拍車をかける危険と絶えず隣り合わせにいます。

一般大衆の霊的無知と低俗な好奇心

霊能力があるというだけで、人々が集まってくるようになります。霊能力について何の知識もない大衆は、ヒーラーや霊能者を超人・神人であるかのように思い込みます。そして優れたヒーラーなら、どんな病気でも奇跡的に治してくれるものと期待します。また、自分の人生や未来についてさまざまなお伺いを立てるようになります。

こうした無知な人間を騙し、お金を巻き上げるのは、いとも簡単なことです。相手が喜び安心するような適当な答えを口にし、相手が感激するような言葉・同情的な言葉をかければいいのです。それだけで、たちまち信奉者になってしまいます。そして周りの人々に、“本物のヒーラー・素晴らしい霊能者”として宣伝してくれるようになります。一般大衆の霊的無知と低俗な好奇心が、ヒーラー・霊能者のウソと詐欺的行為をどんどんエスカレートさせることになるのです。大衆が賢くて低俗な好奇心を持つことがなければニセヒーラー・ニセ霊能者の働き場はなくなりますが、現実は無知な大衆が彼らをさらに悪の道へと駆り立てることになっています。

大衆を騙すのは何と簡単なことか

ヒーラーや霊能者は一般大衆と接するうちに、「この世の人間はいかに簡単にウソを信じ込むものか」「大衆を騙すのは何と簡単なことか」と実感するようになります。そして邪(よこしま)な思いが膨らみ始め、ウソをつくことが常態化していきます。前世や守護霊の身元など本当は分かりもしないのに、それらしく適当にウソを言えば、相手はそれを鵜呑みにし、喜んで多額の報酬をもたらしてくれます。そんなことを繰り返しているうちに正常な感覚が麻痺し、人々を騙すことへの罪悪感が失われてしまいます。

メディアや出版社と共謀して大衆を騙す

ヒーラーや霊能者の堕落化に拍車をかけるもう一つの要因は、出版業界とテレビに代表されるメディアです。利にさとい出版業者やメディア業界の人間は、ヒーラー・霊能者を利用して利益を得ようと画策します。霊能者を広く売り込むことで無知な大衆を騙せば、発行部数を増やしたり、視聴率を上げられるようになることを知っているのです。それどころか騙された購読者や視聴者が、批判者からの“反論の盾”となってくれることも計算済みです。

出版業者やテレビ関係者にとって、ヒーラー・霊能者ほど利用するのに都合のいい存在はありません。自分たちに商業的利益をもたらしてくれるなら、ヒーラー・霊能者がニセモノであろうが本物であろうが、どちらでもいいのです。言論・出版の自由をいいことに、売り上げを増やし視聴率を上げることだけを当て込んで無節操な行為に走っています。そこには“カネこそすべて”という拝金主義しかありません。そのため出版業者やテレビ関係者は、自分たちに利益をもたらしてくれそうなヒーラー探し・霊能者探しに血眼になっています。霊的に見れば、こうした出版社もテレビ局も、人々を意図的に騙すペテン師と大差はありません。

一方、ヒーラーや霊能者にとっても、メディアとつながることは得策です。本を出版したりテレビに出演して有名になれば、自分の周りに多くの人々が集まるようになります。お金と人気を同時に手に入れることができるようになるのです。ニセヒーラー・ニセ霊能者にとって、利害を共有できる出版業者やメディア関係者は、実にありがたい存在です。こうしてニセヒーラー・ニセ霊能者の不正行為は、ますますエスカレートしていくことになるのです。