(1)治療の主役

誰が治療を行うのか

「スピリチュアル・ヒーリングでは、いったい誰が治療をするのでしょうか?」――こうした質問をすると、「治療をするのはヒーラーに決まっている。そんなことは当たり前ではないか」との答えが即座に返ってきます。スピリチュアル・ヒーリングを受けようとする患者は、「ヒーラーが自分の病気を治療してくれるのだから、謝礼として治療費を払うのは当然のこと」と考えています。ヒーラー自身も、「自分が患者の病気を治療するのだから、治療費をもらうのは当たり前。西洋医学の医者が病人を治療するのと同じこと」と思っています。治療をするのは“医者やヒーラーや治療師”――これが世間一般の常識です。

しかし、スピリット・ヒーリングはこの常識が全く当てはまらない、きわめて特殊な治療法なのです。

1)スピリット・ヒーリングの主役は霊界の医者(スピリット・ドクター)

いきなり驚くような結論を述べますが、スピリット・ヒーリングの“主役”は地上のヒーラーではなく、霊界にいる霊(スピリット)です。スピリット・ヒーリングにおける治療者は、地上のヒーラーではなく「霊界の霊(スピリット)たち」なのです。

霊界に存在するスピリットたち

21世紀の地球上ではまだ、死後の世界(霊界)の存在や、霊界に霊がいることを信じられない人々が多数を占めています。そうした状況の中で「霊界のスピリットが地上人の治療を行う」というようなことを言うと、間違いなく大きな議論を巻き起こすことになります。しかしそれを承知のうえで、事実は事実として述べていくことにします。

私たちが生活している物質界と同じ場所に、重複して霊的世界が広がっています。そしてそこには、地上人生を終えて他界した多くの霊(スピリット)たちが生活しています。現在、地球上で生活している人間は、いずれ例外なく死後の世界(霊界)に赴くようになります。地上世界に住んでいるかぎり、「霊視能力」を持った一部の人間にしか霊界に存在する霊(スピリット)の姿を見ることはできません。しかし、死後は誰もが「霊的視力」を持ち、他の霊たちの姿を認識することができるようになるのです。

霊医の存在と、霊医団の形成

スピリット・ヒーリングは、霊界の医者(霊医)が“主役”となって進めるヒーリングです。死後の世界(霊界)にも、地上のような医者という職業があると聞くと驚かれることと思いますが、それは事実なのです。霊界にいる他界者(霊)たちは、私たち地上人と同じように、各自が仕事を持って忙しく日々の生活を送っています。その中には地上時代を医者や治療家として過ごした者がいて、死後も引き続きそうした仕事に携わっています。そして霊界の病人だけでなく、時には地上世界にいる病人の治療にもあたるのです。

こうした霊界で医療に従事している霊(スピリット)を「霊医(スピリット・ドクター)」と言います。この霊医によって進められる治療(ヒーリング)が「スピリット・ヒーリング」なのです。霊(スピリット)が“主役”となって行う治療という意味で、スピリット・ヒーリングと呼びます。

スピリット・ヒーリングでは、地上のヒーラーは霊界の医者(スピリット・ドクター)の協力者であり、助手です。地上のヒーラーは霊界の医者の道具として働くのであって、治療の主役ではありません。スピリット・ヒーリングを行っている現場を肉眼で見ると、そこには地上のヒーラーの姿しか見えませんが、それを霊視すると、ヒーラーの背後には霊医(スピリット・ドクター)が存在し、治療を進めていることが分かります。

スピリット・ヒーリングには、さらに重要な内容があります。それは治療に携わる霊医(スピリット・ドクター)は1人ではない、ということです。ほとんどの場合、複数の霊が集まって「霊医団(霊団)」を形成し、協力体制で治療にあたっています。1つの霊団をつくっている霊医たちはかなりの数にのぼり、数十人から数百人、時にはそれ以上に及ぶこともあります。

2)一般のスピリチュアル・ヒーリングとスピリット・ヒーリングの霊的背景の違い

スピリット・ヒーリングは、複数の霊医(スピリット・ドクター)からなる霊団と、地上の少人数のヒーラーによって組織化され、治療が進められていきます。それはまさに、世の中の巨大な総合病院に相当します。地上のヒーラーはその総合病院の窓口(受付係)であり、霊界の医者の助手と言えます。総合病院全体の中で、地上のヒーラーが果たす役割は小さなものですが、地上のヒーラーがいなければ地上人への働きかけはできず、スピリット・ヒーリングそのものが成立しなくなります。その意味で地上のヒーラーは、総合病院にとって不可欠なスタッフであり、強力な協力者・助手ということになります。

霊界の霊医団の受付係・助手として働く地上のヒーラーには、誰でもなれるというわけではありません。何よりも霊界の医者たちから――「自分たちの治療の受付係・助手として相応しい人間である」と認められなければなりません。霊界主導の地球人類救済プロジェクトの一員として働くためには、霊界の医者たちから信任されることが必須条件なのです。「霊医の道具」となって働く地上のヒーラーには、さまざまな霊的内容が要求されます。当然、厳しい“霊的修行”が必要となりますが、それについては第二部で説明します。

以上が、スピリチュアリズム運動の一環として展開している「スピリット・ヒーリング」の霊的背景です。スピリット・ヒーリングは、霊界の霊医たちと地上のヒーラーの共同作業で進められるものですが、その“主役”はどこまでも霊医たちです。それに対して一般のスピリチュアル・ヒーリングは、地上のヒーラーによって進められるものであり、“主役”は地上のヒーラーです。スピリット・ヒーリングが無数の専門医(霊医)と地上の受付係(ヒーラー)からなる巨大な総合病院における治療であるのに対して、一般のスピリチュアル・ヒーリングは、たった1人の医師が治療にあたる小さなクリニックでの医療行為と言えます。