6)霊的なものを頭から否定される方へ

本書のメインテーマである「スピリット・ヒーリング」は、死後の生命である霊魂と死後の世界の実在を前提としています。霊や霊界(死後の世界)というと必ず反論する人間が現れ、決まって次のように言います。「そんなものはあるはずがない。もしそれ(霊や霊界)が本当にあるとするなら、科学的に証明せよ。科学的に明らかにされていないのに、それを前提として医学や治療を論じることは空想である。だから本書の内容は無意味である」と。

本書は、そうした考え方をする人を対象としてはいません。頭から霊や霊界の存在を否定する人には不向きな書物であり、むしろ読まない方がいいのです。“科学”とはそもそも、「物質世界の法則」を探し出そうとする方法論・手段にすぎません。科学はどこまでも、物質世界だけを対象としています。したがって科学ではもともと、霊とか霊界の実在を証明することなどできるはずがないのです。

神の存在を科学で証明することはできませんが、科学者の中には心の底から神を信じている人が大勢います。科学と霊や霊界の関係も、これと同じです。科学では、霊や霊界の存在を証明することも否定することもできない以上、一方的にそれを空想と決め付けることは間違っています。

霊や霊界の存在を受け入れられるかどうかは、その人の“霊的感性”によるものであって、知性の問題ではありません。霊的世界を受け入れるには、一定の「霊性」が必要になります。霊性とは「魂の成長度合い」のことです。あるレベルにまで魂が向上して初めて、霊的世界に対する受容性が芽生えるようになるのです。知的に優れた科学者であっても、霊性レベルは一人一人異なっているため、霊的世界に対する姿勢も人それぞれということになります。

霊的な事柄には常にこうした「霊性」という問題が付きまとうため、スピリチュアリズムでは、それを頭から否定する人・受け入れられない人に無理やり信じ込ませようといった態度はとりません。スピリチュアル・ヒーリングにおいても、相手(患者本人や患者の家族・知人など)が望まないかぎり、治療を行うようなことはありません。本人がスピリチュアル・ヒーリングを受けたいと思ったときのみ、治療をして差し上げるのです。

どこまでも「霊や霊界など存在するはずがない」と主張する人とは、接点が持てません。しかしそうした唯物論者であっても、今後の人生の中で遭遇する苦難の体験がきっかけとなって、突如、神や霊界の存在を受け入れるようになるかもしれません。もちろん中には、一切信じないまま死を迎えるようになる人間もいると思いますが、そうした人であっても死後には、本書で述べていることを否応なく認めるようになるはずです。

一方、「霊や霊界の存在を否定はしないが、今ひとつ信じられない。何か実際に体験すれば信じられるようになるかもしれない」と思っている人もいることでしょう。そうした方はぜひ、信頼できるスピリチュアル・ヒーラーから心霊治療(スピリット・ヒーリング)を受けてみてください。「真実を知りたい」という謙虚な気持ちでヒーリングに臨むなら、きっと霊の存在を実感するような体験が得られるはずです。まさに“求めよ、さらば与えられん”の言葉どおりのことが起きるようになるものと思います。