〈本章のポイント〉

◎スピリット・ヒーリングが、一般のスピリチュアル・ヒーリングや他の治療法と比べて絶大な治療効果をもたらすことができるのは、用いられる「治療エネルギー」がきわめて特殊なものだからです。

霊医によってつくられた治療エネルギーは患者の「霊」に届き、そこを充電・活性化します。治療エネルギーが人間の最も高次の要素である「霊」にまで至ることができるのは、スピリット・ヒーリング以外にはありません。「霊」を満たした治療エネルギーは「霊の心」「霊体」「肉体」へとステップダウンし、各領域を活性化して全身の不調和状態を正すことになります。こうして長年の病気が一瞬にして完治するという“奇跡的治癒”が発生することになるのです。

この“奇跡的治癒”こそがスピリット・ヒーリングの真骨頂であり、他に類のない卓越性を示しています。

◎とは言っても“奇跡的治癒”が起きるのは、病気の原因となっている「カルマ」が清算されている患者に限られます。患者にカルマが残っている場合には、スピリット・ヒーリングを受けても完治することはありません。“部分的治癒”にとどまってしまいます。しかし部分的であっても病気が治るということは、患者にとっては幾ばくかの救いと言えます。

部分的治癒が生じる範囲や領域は、一人一人のカルマの内容やカルマの清算状況などによって異なります。ある患者は「霊の心・霊体・肉体」の領域において部分的治癒が発生し、別の患者は「霊体・肉体」の領域において部分的治癒が発生します。また、「肉体」の領域だけに部分的治癒が起きる患者もあります。このように患者の内容によって治療効果が異なり、治癒する範囲が決まることを「治療領域理論」と言います。

◎「治療領域理論」とは、1人のヒーラーが複数の患者に治療エネルギーを与えたとき、患者によって治療結果が異なる理由を明らかにしたものです。同じヒーラーから治療を受けても、患者によって治療結果が異なるということは、その原因がヒーラーサイドではなく患者サイドにあることを示しています。

◎病気で苦しむ患者にとって、一番の関心はスピリット・ヒーリングの「治癒率」です。世間一般の人々は、治癒率の高さ=ヒーラーの優秀性と考えています。しかし治療効果は、ヒーラーの能力よりも患者サイドの内容によって決定されるものなのです。この点から言えば、「治癒率によってヒーラーを評価するのは的外れ」ということになります。

◎スピリット・ヒーリングでは、常に何らかの好転が見られます。完治しない場合でも、必ず部分的な癒しが発生します(部分的治癒)。治療効果の有無によって考えるなら、スピリット・ヒーリングの治癒率は100%ということになります。しかし、肉体の異常の消滅(完治)を基準とするなら、治癒率は大幅に低下することになります。

治癒とは、一般的には肉体の異常が消滅することと考えられていますが、実際には治療を受けて肉体の異常が消えても、しばらくすると再発するようなことがあります。こうしたケースを治癒として数えるのかどうか、ということも問題となります。

◎治癒については、今見てきたような治癒のさまざまな実態と同時に、患者の「カルマ」という要素を考慮しなければなりません。患者に「カルマ」が残っている場合には、いかなる治療法をもってしても、病気は完治しません。こうした複雑な状況を考えると、安易に治癒率を論じることはできなくなります。

◎治癒率の問題以上に重要なのが、治療の“成功・失敗”の問題です。スピリット・ヒーリングと一般のスピリチュアル・ヒーリングとの大きな違いは、ヒーリングの目的にあります。スピリチュアリズム運動の一環として展開しているスピリット・ヒーリングは、患者の病気を治すことが最終的な目的ではありません。“ヒーリング(治療)”という名称を掲げてはいても、その真の目的は患者の「霊的覚醒」と「霊的成長」にあります。

そのため奇跡的治癒によって病気が治っても、患者の心に「霊的覚醒」という根本からの変化が生じなければ、そのヒーリングは“失敗”と判断されます。それとは反対に、病気は治らなくても、患者の心に「霊的覚醒」がもたらされたときには“成功”と判断されるのです。

こうした点でスピリット・ヒーリングは、一般のスピリチュアル・ヒーリングや他の治療法とは根本的に違っています。