9.スピリット・ヒーリングによる除霊と、霊的エネルギーの補給

現在、日本ばかりでなく世界各地で行われている除霊・浄霊は、結局はそのほとんどが根本的な解決法になっていないことが明らかになりました。それどころか除霊をすればするほど、以前よりもさらに状態を悪化させてしまうこともあります。低級霊を引き寄せている本人の心の持ち方・考え方を変えさせて、自己防衛の努力を促すことこそが真の根本治療なのですが、そうした一番肝心なことを無視して、ただ単に取り憑いた霊を無理やり引き離そうとしています。

一般の除霊・浄霊は、憑依に対して表面的な対処しかしていません。祈祷師や霊能者・新興宗教において行われている除霊・浄霊の大半は、その場かぎりの対応であり、憑依霊が再び憑いて、最後は病院に入院させざるをえなくなるケースがほとんどです。

しかしスピリチュアリズムの歴史の中には、本当の意味での除霊の実例があります。除霊が見事な結果をもたらした数少ない成功例があります。それがウィックランドの除霊治療です。

驚異的なウィックランドの除霊治療

本物の除霊治療の手本

アメリカ人医師、カール・ウィックランドは、30年にわたって憑依による精神病の治療に当たってきました。霊界からの依頼でウィックランドは、患者に憑いた霊を妻のアンナに乗り移らせ、霊を説得して除霊することになりました。彼はこの方法で、数多くの患者と憑依霊を救済してきました。しかもウィックランドの除霊治療の場合には、再発というケースがほとんど見られませんでした。完璧とも言える見事な結果を残しています。

実はウィックランドがこうした素晴らしい治療実績を上げることができたのは、霊界からの多くの援助と強力なサポートがあったからなのです。ウィックランドは熱心なスピリチュアリストでした。

彼のもとへ連れてこられた患者は、それまでの苦しい人生によって悪因縁(カルマ)が切れる時を迎えていました。それと同時に、精神病の原因となっていた憑依霊自身にも、それまでの苦しみを通じて霊的目覚めの時がきていました。ウィックランドの除霊が一般常識では考えられないような成功を収めたのは、こうした2つの霊的条件が満たされていたからなのです。患者と憑依霊がともに、これまでの状況を抜け出せる時期を迎えていたということなのです。

このような霊的条件に適う患者と憑依霊を、霊界側が選んでウィックランドのもとに連れてきたのです。そして最後の仕上げとして、ウィックランドが憑依霊をさとし、自分から患者のもとを離れるように仕向けたのです。この結果、憑依現象が根本的に解決されることになりました。まさに本物の除霊治療、「スピリット・ヒーリング」が行われたのです。

「スピリット・ヒーリング」によってのみ、本当の除霊治療が可能となる

世間には盛んに“浄霊治療”をうたっている霊能者がいます。浄霊は除霊とは違うのだと主張するのです。単に霊を取り除くだけでは駄目で、霊を説得し納得させる浄霊でなければ憑依は解消しないと言います。

たしかにその言い分は正しいのですが、霊的世界の現状を見たとき、それだけで憑依は根本的に解決するものではありません。除霊後の憑依霊に対する徹底したアフターケアにまで及ばないかぎり、憑依霊の完全な救済はあり得ません。それは霊界の医師や協力者によって進められる「スピリット・ヒーリング」においてのみ可能となります。そうした本物のスピリット・ヒーリングから見れば、この世の除霊・浄霊のたぐいは、単なる低次元での対処法にすぎず、根本的な解決法からは大きく隔たっています。

ウィックランドの除霊治療が、祈祷師や霊能者・新興宗教などの除霊と違っていたのは、霊界から多くの導きを得ていた「本物のスピリット・ヒーリング」であったということです。こうした本物の除霊は、滅多に存在しません。スピリット・ヒーリングによる除霊の優れた見本が、まさにウィックランドの除霊治療だったのです。

スピリット・ヒーリングでは「治る時期」のきた患者が霊界から導かれ、ヒーラーのもとへ連れてこられます。あるいはヒーラーが、「治る時期」のきた患者のもとへ導かれます。そしてヒーラーはカルマ清算の仕上げとして、ヒーリングに携わることになります。その結果、常識では考えられないような“奇跡的治癒”が実現することになるのです。

しかし、これはカルマの法則の観点からすれば奇跡でも何でもありません。スピリット・ヒーリングは、神の摂理を超えた奇跡を起こして不治の病を癒しているのではなく、摂理に従って治るべき人を治しているにすぎないのです。治療の結果は、すべて神の法則の領域内において生じていることなのです。

イエスの驚異的な除霊治療も、すべて霊的法則に従ったもの

新約聖書の中には、イエスが行った数々の除霊治療が記されています。またイエスが12弟子に、けがれた霊を追い出して病気を癒す権威、すなわち除霊治療の力を授けたことが書かれています。

イエスは確かに人類史上最高のヒーラーであり除霊師と言えますが、次のような点にも留意する必要があります。聖書の中のイエスの記述には、誇張や事実でないもの、また病気が治ったといっても、実はその場かぎりのものも含まれていたということです。イエスによって憑依を解消された人々の中には、いったんは病気が消滅したものの、その後再び低級霊に取り憑かれ再発した人もいたはずです。

私たちがイエスの卓越した奇跡的治療について考えるときに忘れてはならないのは、イエスの治療のすべては、カルマの法則(因果の法則)に代表される「霊的法則」に基づいて行われていたということです。イエスは、憑依によるあらゆる異常や病気を癒したわけではありません。イエスは治らない病人を治したのではなく、「治るべき病人を治した」ということなのです。

スピリット・ヒーリングによる霊的エネルギーの補給

スピリット・ヒーリングが統合失調症の治療に効果的であるのは、完璧な除霊を行える可能性があること以外に、「心の自然治癒力」の働きを高めることができるからです。「霊の心」に霊的エネルギーを補給することによって自然治癒力が高まれば、霊による潜在意識の支配を排除することができるようになります。

薬物療法によって急性の症状を抑えることができたとしても病気が完治しないのは、潜在意識のレベルに問題が残っているからです。憑依が霊的レベルで続いていたり、あまりのエネルギー枯渇状態で潜在意識が正常な働きができないといったことなどが考えられます。「スピリット・ヒーリング」による霊的エネルギーの補給によって、こうした障害が解消される可能性が高くなります。現に、統合失調症で長年苦しんでいた患者がスピリット・ヒーリングを受けることで、めきめきと好転することも珍しくありません。この意味でもスピリット・ヒーリングは、統合失調症の治療として大いに期待されます。