2.霊医(スピリット・ドクター)の存在と、最高レベルのヒーリング

“スピリチュアリズム”のヒーリングの特殊性

「霊医」から出発するヒーリング

スピリチュアリズムにおける「スピリチュアル・ヒーリング」には、他のヒーリングとは全く異なる、きわめて特殊で重要な内容が存在します。それは霊界に「地上の医者のような存在」これを「霊医」とか「スピリット・ドクター」と呼ぶ)がいて、この霊界の医者から発せられる強い霊的エネルギーが、地上のヒーラーを媒介として患者に与えられ、病気が癒されるということです。スピリチュアル・ヒーリングといえば、普通はヒーラーから治療行為が出発すると考えられていますが、スピリチュアリズムの場合は、治療は地上のヒーラーではなく、目に見えない「霊界の医者から出発する」ということなのです。

この点でスピリチュアリズムのヒーリングは、他の一般のスピリチュアル・ヒーリングとは根本的に異なります。

“スピリチュアリズム”のスピリチュアル・ヒーリング
霊医 → 地上のヒーラー → 患者
“一般”のスピリチュアル・ヒーリング
地上のヒーラー → 患者

「治療霊団」による協力体制

スピリチュアリズムにおけるヒーリングには、もう1つの特筆すべき内容があります。それはヒーリングが、「複数の霊医によって行われる」ということです。

スピリチュアル・ヒーリングといえば、一般的には1人のヒーラーによる治療と考えられがちですが、スピリチュアリズムのヒーリングでは、複数の霊医がグループを形成し、メンバー全員の協力体制のもとで治療が進められます。このグループを「治療霊団」と言います。

霊界の「個性霊」と、「霊医」

霊医、すなわち霊界の医者たちとは、具体的にはどのような存在なのでしょうか。霊の存在を頭から否定する唯物論者には、霊医などというものは到底受け入れることはできません。すでに本書の「はじめに」でも述べましたが、霊の存在の受容は、最終的には1人1人の「霊性」に委ねられる問題です。

霊の存在を受け入れることは、非科学的なことではありません。霊の存在を一方的に否定することは、正しい科学的姿勢とは言えません。ここでは霊の存在を霊的事実として受け入れられる人を対象として、話を進めていくことにします。本書は霊の存在を初めから否定し、その枠を一歩も出ることができない人を対象とはしていません。

本書の第2章の「身体観」では、人間は霊体と肉体の2つの身体を持って存在していることを述べました。この霊体と肉体は、死によって永遠に分離することになります。そして肉体を脱ぎ去った人間は、死後の世界である霊界において「個性霊」として新たな生活を始めるようになります。

個性霊

「霊」といっても肉体という物質的な身体がないだけのことであり、幽質からなる「霊体」という外形のともなった身体を持っています。また「個性霊」同士の間では、お互いの存在を認識し合うこともできますし、コミュニケーションも可能です。さらには地上時代と同じように、活発な思考活動・精神活動もしています。要するに人間は、死後も、地上時代とほとんど変わらないような生活をしているということなのです。違いは、地上時代のような肉体という物質的な媒体を持っていないということだけなのです。

「個性霊」の中には、地上時代を医者や治療家として過ごした者がいます。彼らは、地上時代に学んだ知識を死後もそのまま携えています。時には霊界に行ってから、さらに新たな知識を身につけるようなこともあります。そうした者たちが、地上の人間の幸せのために何らかの奉仕をしたいと思うようになると、かつての自分と同じように医療に携わる地上人を通じて働きかけを開始することになります。これが「霊界の医者」、「霊医」なのです。

スピリチュアリズムでは、こうした「霊界の医者」の主導によってヒーリングが積極的に行われ、死後の世界の存在についての“啓蒙運動”が展開されてきました。後ほど詳しく述べますが、スピリチュアリズムでは、この霊医によるヒーリングスピリット・ヒーリングと言う)のみを本物のスピリチュアル・ヒーリングと見なしています。

霊医の道具としてのヒーラーの役割

霊医から発せられた強烈で純粋な「霊的エネルギー」は、そのままでは患者の身体に受け入れられません。そこで霊能力を持つ地上のヒーラーにいったん霊的エネルギーが投射され、ヒーラーの身体を通過することによって物質性を帯びたエネルギーに変換されます。それが患者に与えられることになります。

地上のヒーラーは、ちょうど電圧を下げるトランスフォーマー(変圧器)のような役割を果たし、「霊医の道具」として利用されるのです。治療の主役はどこまでも「霊医」であって、地上のヒーラーではありません。

ヒーラーの役割

最高レベルの治療の可能性

こうしたプロセスを経て患者に取り込まれた霊的エネルギーは、患者の最も高次の部分、すなわち「霊」にまで達することが可能となります。そして枯渇していた「霊」のエネルギー状態を改善し、充電・活性化させることになります。「霊」を充電したエネルギーはステップダウンして、霊の心(霊的意識)→霊体→本能・肉体へと流れ、身体のすべての構成要素を活性化させることになります。このようにして「治療領域理論」(第4章)で述べた最高の治療が可能となるのです。もちろん現実には、患者の霊的エネルギーの受容性、すなわち「魂の窓」という問題があるため、すべての患者に最高次元の治療結果が実現するわけではありませんが、その“可能性”がもたらされることになるのです。

こうした霊医によるスピリチュアル・ヒーリング(スピリット・ヒーリング)と比べるならば、一般のスピリチュアル・ヒーリングでは、地上のヒーラーから発せられたエネルギーが、患者の「霊」の領域にまで達することはありません。霊体や肉体といった低い治療領域レベルをカバーするのが精一杯です。当然、高い治療結果を期待することはできません。

スピリチュアル・ヒーリングの理想は、全身のバランス・調和状態を回復することですが、スピリチュアリズムのヒーリングにおいてそれが可能となるのは、「霊医」という外部の霊的存在からの強力な働きかけが実際にあるからなのです。

オーダーメイドの治療エネルギーと、完全な個別治療

霊医によるヒーリング(スピリット・ヒーリング)のもう1つの重要な点は、「徹底した個別治療」が行われるということです。患者の「エネルギー循環システム」の状態は、それぞれ異なっています。全身のエネルギー状態を不調和・アンバランスにしている原因は、患者ごとに違っています。そこで1人1人に合わせたエネルギー治療の方法が必要となるのです。

霊界の医師たちは、共同作業によって患者に対して特殊な作用をする「治療エネルギー」を準備します。より「魂の窓」を通過しやすいエネルギーや、循環システムの異常を正常化する治療エネルギーをつくり上げます。霊界の医師たちは、地上の薬剤師が薬品を調合するように、それぞれの患者にふさわしい個人向けの治療エネルギーを準備します。その治療エネルギーが、地上のヒーラーを通じて患者に届けられるのです。このように霊医によるヒーリング(スピリット・ヒーリング)では、1人1人の患者に対する「徹底したオーダーメイドの治療」が行われることになります。

こうしたオーダーメイドの治療によって、患者の全身体的なエネルギーバランスが効果的に取り戻されることになります。もし最初に使用したエネルギーが功を奏さないときには、そのエネルギー投与の反応がフィードバックされ、霊医たちによって治療エネルギーに改良が加えられ、新たな治療エネルギーが準備されることになります。こうして霊医によって次々と治療エネルギーが開発されるため、時間とともに治療効果がアップするようになります。「個別治療の徹底度」という点で、他のヒーリングは、スピリチュアリズムのヒーリング(スピリット・ヒーリング)の足元に近づくことさえできません。

ホリスティック医学の理想とする個人別治療は、まさにスピリット・ヒーリングにおいて完璧な形で実行されることになります。こうした理想的とも言えるオーダーメイドの個別治療が可能となるのは、「霊医」という特別な霊的存在がいればこそなのです。