本章(第3章)のまとめとキーポイント

スピリチュアル・ヒーリングでは、「霊」に取り入れられた「霊的エネルギー」が、身体の上位構成要素から下位の構成要素へとステップダウンすることによって、全身にくまなく行きわたることになるとします。本書ではこれを、「霊的エネルギー循環システム」と呼びます。

霊的エネルギーの循環が正しく行われるならば、人体の各構成要素は宇宙と自然界の摂理に合致し、全身に調和がもたらされます。霊・霊的意識・霊体・本能・肉体のバランスがとれ、健康を維持できるようになります。反対に霊的エネルギーの循環が滞ったり異常をきたすと、全身がアンバランスになり病気が発生します。

この「霊的エネルギー」と「霊的エネルギー循環システム」に基づくホリスティックな健康論・病因論・治療論をトータルして「霊的エネルギー循環理論」と呼びます。

スピリチュアル・ヒーリングの病気観は、「霊的エネルギー循環システム」によって説明されます。「霊的エネルギー循環システム」の異常が、全身の不調和・アンバランスを招き、その結果が肉体の病気として現れます。

「霊的エネルギー循環システム」の異常を引き起こす原因は、多くの人々の場合、霊的エネルギーの取り入れという第1段階においてすでに発生しています。もう1つの原因は、霊的エネルギーの循環障害です。

その具体的内容は次のようなものです。

① 霊的エネルギーの取り入れ障害
生まれつきの本人の霊性レベルとカルマ
唯物的考え方・肉主霊従的生き方・物質文明の影響
② 霊的エネルギーの循環障害
精神的ストレス(恐れ・不安・悲しみ・怒りなど)
肉主霊従的生き方

「霊的エネルギー循環システム」の異常を引き起こすファクターは、「霊的・精神的要因」「カルマ的要因」「物質的要因」の3つに分類されます。このうち「霊的・精神的要因」と「カルマ的要因」の影響力は、全体の90%以上を占めます。

一般に、病気は物質的要因によって引き起こされると考えがちですが、実際にはその影響力はわずかなものです。

ホリスティック医学では、病気の原因を「生体維持機能(免疫機能など)」への影響力という観点から見ます。その際、健康を左右する要因としてよく「心・食・運動・休養」を挙げますが、それらが免疫機能に及ぼす影響力の比率は「4:2:2:2」と考えられます。

しかし、実際には「霊的・精神的要因」は食・運動・休養と深い関係があり、その状態を左右しています。この点を考慮すると、病気の原因の大半(90%以上)は「霊的・精神的要因」にあると言えます。

スピリチュアル・ヒーリングと同様に「霊的エネルギー循環理論」を唱えるのが、インド伝統医学のヨーガです。ヨーガでは「プラーナ」という根源的な霊的エネルギーが「チャクラ」から取り入れられ、「ナディ」と呼ばれる通路を経て全身に行きわたるとされます。ヨーガでは、スピリチュアル・ヒーリングと同様に不可視の霊的身体の存在を認め、この身体を含めてエネルギーの循環が行われると説いています。

そして、霊的エネルギーの循環がスムーズに行われるなら健康を維持できるようになり、反対にエネルギーの循環がスムーズでないなら病気が発生するようになると考えます。こうした霊的エネルギーの循環から健康観・病気観を考える点において、ヨーガはスピリチュアル・ヒーリングと同じ方向性を持っています。

ただしヨーガのエネルギー循環理論は、スピリチュアル・ヒーリングが霊的身体の数を1つとしているのに対し、霊的身体を2つとしている点で違っています。また霊的エネルギーの循環経路が、スピリチュアル・ヒーリングでは上位から下位へとステップダウンするとしているのに対し、ヨーガではチャクラから各身体に分配されるとしています。この点でも、スピリチュアル・ヒーリングとヨーガでは異なります。

中国伝統医学である気の医学も、「エネルギー循環理論」を説きます。外部から取り入れられた「気エネルギー」は、「経絡」という通路を通って全身に行きわたるとしていますが、この気エネルギーの流れがスムーズならば全身の健康状態が維持され、反対に流れが滞ったり異常をきたせば病気になると説きます。エネルギーの循環をもとにしたホリスティックな健康観・病気観を展開していることは評価に値します。

さらに気の医学の特筆すべき点は、気の状態が、心や感情と密接な関係があることを明確にしていることです。この点で、心の影響力を無視する“唯物医学”とは一線を画すことになっています。現在の「心身医学」と同じような方向性を持ち、ホリスティック医学の立場を鮮明にしています。

気の医学には霊的身体という明確な身体観がないために、初めから物質次元に限定された「エネルギー循環理論」となっています。この点でスピリチュアル・ヒーリングやヨーガとは異なります。気の医学には「霊体」という重要な身体構成要素がごっそり抜け落ちている分、ホリスティック性の領域が狭くなっています。

一方、気の医学の理論化は驚くほど進んでおり、精緻な医学理論が確立されています。しかも、その気の理論は現代科学の手法を用いた実験によって確認され、科学的に気の理論の正当性が証明されるようになっています。

中国の伝統医学である「気の医学理論」は、肉体次元に関するかぎり、スピリチュアル・ヒーリングのエネルギー循環理論と抵触しません。したがってスピリチュアル・ヒーリングの「霊的エネルギー循環理論」の中に、気の医学をそのまま取り入れる可能性が残されています。

「霊的エネルギー(霊体エネルギー)」が「肉体エネルギー」に転換されることが、現代科学による実験によって証明されようとしています。これはスピリチュアル・ヒーリングで言う「霊的エネルギーから物質エネルギーへの転化」の正当性を裏づけることになります。