(1)ヒーラーの煩悩

ヒーラーの心に渦巻く本能的快楽への渇望

ヒーラーの煩悩とは

霊界から見ると、地上の大半のヒーラーや霊能者はあまりにも霊的に未熟です。そして多くの人間的弱さと煩悩を持っています。地上のヒーラー・霊能者の95%以上がニセモノか霊的価値のない者たちですが、その原因は本人の霊性の低さと人間性の未熟さにあります。その結果、彼らの心は肉体本能に支配され、この世の富や快楽の追求に翻弄されるようになっています。

「心の肉主霊従」から発する本能的快楽への渇望が“煩悩”の正体です。煩悩という言葉は古来、宗教においてしばしば用いられてきましたが、それは心が肉体本能に支配され、神の摂理から外れた方向を志向することです。“煩悩”とは、肉体本能の快楽を優先して求める心の傾向のことであり、金銭欲(物欲)・名声欲・権勢欲というこの世の富(利益)を貪り求めることなのです。

“煩悩まみれ”のヒーラーたち

スピリチュアル・ヒーラーになりたいと願う人間の多くが、その出発の時点ですでに根本的な間違いを犯しています。これまで学んできたように、ヒーラー・霊能者とは本来、霊界の道具として人類の霊的成長・霊的幸福のために自らの人生を捧げようとする人間のことです。当然のこととして、あらゆる行為が「無私無欲の奉仕精神・自己犠牲の精神」から出発しなければなりません。ヒーラー・霊能者は人類に対する奉仕者である以上、常に霊界の道具に徹して、人類全体のために犠牲の道を歩んでいかなければなりません。

ところが残念なことに大半のヒーラーは、こうした崇高な志を持ってヒーラーとしての道を出発したわけではありません。それどころか正反対の動機から、ヒーラーを目指しているのです。自称“スピリット・ヒーラー”の大半が、自分自身の利益を求め、欲望を満たすためにヒーラーとしての道を選択しています。「金銭や名声を得たい!」といったエゴ的な動機からヒーラーを志しているのです。大半のヒーラーの実態は、まさに“煩悩まみれ”という一言で表現されます。

ヒーラー・霊能者の煩悩の具体的内容は、以下のようなものです。

ヒーラーの煩悩【1】

金持ち願望・セレブ願望

ヒーラーや霊能者としての成功は、「裕福な生活を送りたい!」という夢を叶えてくれることになります。ヒーラー・霊能者としての人生には、大半の地上人が心の中で抱く金持ち願望・セレブ願望を実現させてくれる可能性が秘められています。

評判の高いヒーラーや霊能者のもとには、連日多くの人々が押しかけます。ヒーラーや霊能者として有名になれば、いとも簡単に金儲けができるようになります。大金が向こうから転がり込んでくるようになります。しかもわざわざ患者(客)を集めなくても、周りの者がどんどん宣伝してくれるのです。世の中に、これほど手っ取り早い儲け話はありません。まさにヒーラー・霊能者という職業は、「金持ちになりたい、セレブになりたい」と渇望する人間にとって格好の職業なのです。多くの人間がこうした不純な動機からヒーラー・霊能者としての道を歩み出しています。

ヒーラーの煩悩【2】

人気者願望・有名人願望

人間は誰もが、金持ちやセレブになりたいと思う一方で、多くの人々から愛されたいという願望を持っています。それが「周りの人から注目されたい、有名になりたい、人気者になりたい」といった思いを喚起することになります。これは「肉体本能」に由来する利己的な欲望です。できるだけ多くの人から愛されたい、愛を独占したいという利己的感情です。“人気者願望・有名人願望”が、多くの現代人の心を支配しています。そうした間違った動機からヒーラーや霊能者を志す人間がいるのです。そしてタレントや歌手と同じように大衆受けを狙い、人気を必死に追い求めています。

大衆から注目され、ちやほやされることによって人間の心には、言い知れぬ喜びと強烈な刺激がもたらされるようになります。いったんその快感を体験すると病み付きになり、その虜(とりこ)になってしまいます。タレントや歌手の多くが、こうした一方的に与えられる本能的刺激と快感の中毒になっています。

大衆の人気を追い求めるようになると、「自分から先に愛を与える」という神の摂理(利他愛の法則)からずれ始めるようになります。そして心は“利己愛(受けるだけの愛)”に支配されるようになります。神と霊界を中心とした生き方ではなく、大衆の受けを中心とした生き方を目指すようになります。

本来なら神の前に正しい生き方をしているのであれば、この世の人間から理解されなくても、あるいは大衆から注目されたり立派だと思われなくてもいいのです。人々から感謝されなくてもいいのです。心の中まですべて見通している神と高級霊の前に正しくあろうとするのが、神の道具であるヒーラー・霊能者のあり方なのです。

しかし、煩悩まみれのヒーラー・霊能者はそれとは正反対の方向に流され、神ではなく大衆の人気の奴隷になっています。「有名になりたい病」「大衆から注目されたい病」に感染しています。

ヒーラーの煩悩【3】

権力者願望

有名人になることによって、多くの人々が自分の周りに集まるようになります。時にはその中から信奉者・崇拝者が現れ、自分の願い通りに動いてくれるようになります。それが本人に、たまらない陶酔感・本能的快感を与えることになります。自分を取り巻く人間から特別視されることで突如、偉くなったかのように錯覚し、優越心にとらわれるようになります。いったんこの快感を味わった者は、破滅状態に陥らないかぎり、そこから抜け出せなくなります。優越心をくすぐる陶酔感が、この世の多くの政治家や経営者・企業家・宗教家の心を支配していることは、今さら言うまでもありません。

ヒーラー・霊能者として成功(?)することによって、多くの人々から持ち上げられ、信奉者や崇拝者・ファンに取り囲まれるようになります。ヒーラー・霊能者としての成功が、何十万、何百万という信者を抱える教祖の道を可能にすることもあります。そこまでいかなくても少々有名になるだけで、何十人、何百人というファンを持つようになります。世の中では出世もできず誰からも尊敬されなかった人間であっても、ヒーラー・霊能者として成功すれば、政治家や企業家・宗教家に匹敵するカリスマを確立し、大衆を操る快感を味わうことができるようになるのです。こうした「偉くなりたい病」「人々から崇拝されたい病」「他人を自分の思うように動かしたい病」に突き動かされた人間が、ヒーラー・霊能者の道を歩み出しています。