(1)スピリチュアリズム運動の一環として行われるスピリット・ヒーリング

スピリット・ヒーリングは、地上の人間から始まったものではありません。スピリット・ヒーリングはどこまでも“スピリチュアリズム運動”の一環として霊界サイドで計画され、霊界人の主導のもとで展開しているプロジェクトなのです。この点でスピリット・ヒーリングは、一般のスピリチュアル・ヒーリングや他の治療法とは根本的に違っています。

スピリチュアリズムは「霊的真理」を地球上にもたらして地球人類の「霊的無知」を解消し、さまざまな悲劇や不幸を追放しようとする人類史上、最大の救済計画です。スピリット・ヒーリングはそのスピリチュアリズムの一部分として、「地球人類救済」という目的を共有しています。すなわち霊的真理を地球上に広め、人類全体に真の霊的救いをもたらすことを最終目的としているのです。

1)地球人類の霊的無知がもたらした悲劇と、スピリチュアリズムによる人類救済プロジェクト

「霊的無知」がもたらした地球上の悲劇

地球人類は現在に至るまで、死と死後の問題に関する明確な知識を持つことができませんでした。これまで多くの宗教を通して死と永遠の生命についてのさまざまな教えが説かれてきましたが、そのほとんどは霊的事実からかけ離れたものでした。教えには部分的に真実も含まれていましたが、それも時代の経過とともに誤解されたり、意図的にねじ曲げられてしまいました。こうして地球人類は今日まで、死と死後の世界に対する「霊的無知」の状態に置かれてきたのです。

「霊的無知」は、地球人類の意識を物質世界に強く向けさせることになります。霊的世界についての確たる知識がないところでは、目に見える物質世界、今住んでいる地上世界だけがすべてであるとの考え方が生まれるようになります。死後の世界の存在に実感がともなわなければ、地上人生を死後の世界と結び付けて考えることはできません。その結果、「物質的価値観」に縛られ、生きている間、できるだけ楽しく過ごさなければつまらないと考えるようになり、ひたすら物欲・肉欲の満足を追い求めることになるのです。

より多くのモノやカネを持った人間が幸福であるとの考え方は、必然的にそれらの奪い合いをエスカレートさせることになります。その結果、モノやカネこそが幸福の源であるとする「物質的価値観」「物質的幸福観」が世界を支配するようになってしまいました。宗教は本来、物質的な価値観や幸福観とは対立するものですが、霊的無知の宗教にそれを克服する力はありませんでした。

地球人類は霊的無知によって、「物質中心主義」と「利己主義」が支配する世界をつくり出すことになりました。現在の地球は、個人から国家に至るまで物質的繁栄を競い、モノとカネを奪い合う弱肉強食の暗黒世界となっています。

「物質中心主義」と「利己主義」に支配された世界は、さまざまな悲劇を生み出すことになりました。その悲劇の最たるものが戦争であり、極端な貧困・飢餓です。一方で、多くの人々が間違った宗教の教えに縛られ、人生を無駄に過ごしています。霊的無知の上につくられた地上の宗教は人々を“霊的牢獄”に閉じ込め、人間にとって最も大切な霊的成長の道を閉ざしてしまうことになります。宗教による霊的牢獄は、死後、肉体次元の悲劇(戦争や飢餓など)よりも、さらに悲惨な結果を招くことになるのです。

人々に幸せをもたらすはずの宗教が、悲劇と不幸を生み出す一番の原因となっている現実は本当に憂うべきことです。

スピリチュアリズムによる地球人類救済計画と、霊的真理の伝道

地球上のあらゆる悲劇は、大本をたどれば「霊的無知」という一点にたどり着きます。「霊的無知」こそが、人類の悲劇の元凶なのです。人類が霊的無知を克服することができれば「物質中心主義」と「利己主義」は消滅し、地球上から悲劇が一掃されることになります。暗黒の地上地獄は存在しなくなります。

スピリチュアリズムは、「霊的無知」によって自ら悲劇と不幸を生み出している地球人類を救うために興された、霊界人主導の歴史的プロジェクトです。その救済プロジェクトは、霊的無知という悲劇の元凶を追放することを目標としています。

「人間は死後も生き続ける」「永遠の霊界こそが本来の生活の場である」「地上人生は霊界での生活のための準備期間である」「地上人が大切にしているモノやカネには一切価値はない」――こうした霊的事実を実感するようになるにつれて、人間は物質的なものへの執着から解放されることになります。この世かぎりの幸福追求に奔走するようなことはなくなります。

地球上から霊的無知が消滅するにともない、物質中心主義と利己主義は影をひそめ、それに代わって「霊中心主義」と「利他主義」が支配的になっていきます。そして霊中心主義と利他主義が地球人類の常識となることによって、神を共通の親とする“霊的同胞世界・一大霊的家族”が形成されるようになるのです。

スピリチュアリズムの目的は、人類の「霊的無知」を駆逐することにあります。それをなすためには「霊的真理・霊的知識」をもたらすことが最も効率的な方法です。スピリチュアリズムは、霊的無知ゆえに悲劇と不幸を招いてしまっている人類に霊的真理を教え、物質中心主義と利己主義を追放しようとする「地球人類救済計画」です。全人類が真の利他愛で結ばれた“霊的同胞世界”を確立しようとする何百年にもわたる大プロジェクトなのです。

スピリチュアリズムによる地球人類救済計画

2)霊界を挙げての霊的真理の普及体制

霊界からの導きによって「霊的真理」と出会う

スピリチュアリズムは、霊的真理をもたらして地球人類を救済しようという霊界主導の大計画です。「霊的真理の普及」こそが地球上の悲劇を解決することができる唯一の方法ですが、その真理は一定の霊性レベルに至っている人間でないかぎり受け入れることはできません。誰もがすぐに理解できるというものではないのです。

一定の霊性レベルに至った人間は、霊界からの導きによって「霊的真理」と出会うようになります。真理が示された書籍やホームページを目にしたり、真理を知ったスピリチュアリストとの出会いの時が与えられることになります。そうした人(時期がきた人間)は霊的真理を手にした瞬間、「これこそ真実である」と直感します。霊的直感力によって、それが本物であることを実感するのです。そして霊的真理を指針とした、新しい生き方に目覚めるようになります。霊的真理にそった実践的歩みを始めるようになります。これが霊的人生であり、霊的成長の道です。

霊的真理を地上人に伝えるために今日まで、霊界を挙げての懸命な働きかけがなされてきました。そしてそれは、今後もずっと続けられていきます。霊界からの働きかけによって、時の経過とともに霊的真理と出会う人間が確実に増えていきます。

霊界の霊たちが“伝道の主役”

スピリチュアリズムは他の宗教と同じように、神や死後の生命や再生についての教えを説き、祈りの実践を勧めます。こうした点から見れば、スピリチュアリズムは一種の宗教(信仰)と言えます。

しかし、スピリチュアリズムは一般の宗教とは異なり、教祖もいなければ宗教組織もありません。“スピリチュアリズム”とは――「各自が自らの判断と良心に基づいて霊的成長の道を歩む」という自己責任の信仰生活なのです。こうした内容を持つスピリチュアリズムは、地上の宗教を超越した宗教という意味で“超宗教”と呼ばれます。

地球人類の真の救いを目的とするスピリチュアリズムは、「霊的真理の普及」を強力に推し進めます。すなわち「霊的真理の伝道」です。熱心な伝道を展開するという点では、スピリチュアリズムは従来の宗教と同じですが、伝道の内容や方法は他の宗教とは全く違っています。

この世の宗教は、自分たちの教団の信者を増やすために、がむしゃらな布教活動を行います。自分たちの組織を拡大するために、強引できわめて不自然な伝道に走ります。こうした伝道は、自分たちが必死になって実績を上げようとする人間の力に頼ったものです。地上の人間が主役の伝道です。

しかしスピリチュアリズムの伝道は、それとは異なります。地上の人間ではなく、霊界人が主役の伝道です。霊界の人々が「霊的法則」にそって伝道を進めるのです。霊界主導の伝道は、この世の宗教のような洗脳による狂信的な布教とは無縁です。時期がきていない者に無理やり真理を押し付けても、あとになって問題を引き起こすだけです。スピリチュアリズムは、恐怖心を煽るような不自然な伝道は一切行いません。

伝道におけるスピリチュアリストの役割

スピリチュアリズムの伝道は、霊界人が霊界から地上人に向けてインスピレーションを送ったり、直接、霊的導きをする中で進められていきます。地上のスピリチュアリストの役目は、霊界の導きによって「霊的真理」のある場所までやってきた人間に真理を手渡すことです。これがスピリチュアリズムの伝道です。先に霊的真理を知ったスピリチュアリストには、他の人に真理を伝える責任があります。霊的真理の所在を世に示し、時期がきた人間に真理を手渡すことがスピリチュアリストの役割なのです。

スピリチュアリズムは、霊界主導の「地球人類救済計画」です。伝道に関しても、霊界人が“主役”となって進めていきます。地上のスピリチュアリストは、「霊界の道具」として手伝いをするということなのです。

本書のテーマである「スピリット・ヒーリング」も、地球人類救済計画の一環として霊界からの働きかけによって展開しています。それは霊的真理を普及するために、霊界の人々が力を結集し推進しているプロジェクトなのです。